2016年2月3日水曜日

新しいペンで




東京の大学に入って、男性と付き合いました。

彼は自分の友人に私を紹介しませんでした。

初めて寝た夜、彼は言いました。

おなかが空いたからおにぎり買ってきてよ。

一生こうなんだろうなと思いました。

私は新しいペンを買った日から、そのペンが書けなくなる日を想像してしまう人間です。

誰にとっても特別な存在になれないのなら、初めからそのつもりで付き合えばいい。

そうして出会ったのが、今の恋人なんです。

何も期待せず、望まずにいられる関係。

私は朝起きるとまず初めに今日1日をあきらめます。

だけど、きっと心の奥のところで諦めが足りなかったのでしょう。

練に助けられた時、ずっとこのまま抱きしめられていたいと思いました。

本当の自分をみられるのが怖かったから、嘘をたくさんつきました。

あなたの前でもう1人の自分になれることがうれしかった。
日向木穂子でいれることがうれしかった。

私笑える、ネズミの顔じゃなく笑える。
だけど、いつでもあなたと別れられるように、夢から覚められるように保険をかけていたんです。

でもそれもやめにします。

練、あなたと付き合いたい、あなたを恋人だと思いたい。

買ったばかりの新しいペンであなたを好きだと書き綴りたい。



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