〝
東京の大学に入って、男性と付き合いました。
彼は自分の友人に私を紹介しませんでした。
初めて寝た夜、彼は言いました。
おなかが空いたからおにぎり買ってきてよ。
一生こうなんだろうなと思いました。
私は新しいペンを買った日から、そのペンが書けなくなる日を想像してしまう人間です。
誰にとっても特別な存在になれないのなら、初めからそのつもりで付き合えばいい。
そうして出会ったのが、今の恋人なんです。
何も期待せず、望まずにいられる関係。
私は朝起きるとまず初めに今日1日をあきらめます。
だけど、きっと心の奥のところで諦めが足りなかったのでしょう。
練に助けられた時、ずっとこのまま抱きしめられていたいと思いました。
本当の自分をみられるのが怖かったから、嘘をたくさんつきました。
あなたの前でもう1人の自分になれることがうれしかった。
日向木穂子でいれることがうれしかった。
私笑える、ネズミの顔じゃなく笑える。
だけど、いつでもあなたと別れられるように、夢から覚められるように保険をかけていたんです。
でもそれもやめにします。
練、あなたと付き合いたい、あなたを恋人だと思いたい。
買ったばかりの新しいペンであなたを好きだと書き綴りたい。
〟
0 件のコメント:
コメントを投稿